君の涙を拭うのは



「前に「人は見掛けじゃない!」って
お母さんが言ってたから大丈夫♪」


この子の母親なら言いそうだ。


「各自生徒はクラスへ向かいなさーい!」


教師が生徒を誘導し始めた。


『行こっか。
豊ちゃん、琉月ちゃん借りてくね?』


「ちゃん付けすんな!
琉月、嫌な事あったら直ぐ言いなよ?」


「もう高校生だよ?大丈夫大丈夫♪
ほら、行った行った!」


琉月ちゃんに背中を押されて
納得がいかない様子だった豊は
俺を睨んで自分の教室へ入って行った。