君の涙を拭うのは



『怒るのも無理ない。
俺も『止めとけ』って言ったのに聞かない。』


今にも殴り掛かりそうな豊を引き止める。


「……ハァ…言っても聞かないのは変わらない。」


長い付き合いの豊が言うなら
俺が何言っても無駄だな。


「まぁ、様子見って事でええんやない?」


「お前…さっきと言ってる事が真逆だぞ。」


あんなに「用心した方が良い」とか言ってたのに。


「要するに!
琉月と美華を二人にしなきゃ良いんだよ!!」


「蝶舞に賛成。
琉月は無害って思い込んだら
とことん気を許しちゃうから。

学校ではアンタ達に任せたわよ。」


琉月を守るように俺らに釘を刺す豊。


『あぁ、必ず守る。』


豊の目を見て答えると、


「…頼んだわよ。」


視線を逸らして教室から出て行った。