君の涙を拭うのは



「本当なんだって!話してみれば分かる!!」


『それで俺が話して、
アイツに盗られたらどーする??』


少し意地悪を言ってみた。


案の定、頬を膨らませる琉月。


「……怜央の意地悪。」


『琉月が変な事言うからだよ。

想ってないのに、
変に期待を持たせるなんて残酷だろ。』


別に哀れと思ったんじゃない。

世の中にはそれを楽しむ奴も居るけど、
そんなのと同じに俺はなりたくないね。


『俺は琉月だけを想っていたいんだ。』


自分が心から大切だと想った人だけを。


「ズルいよ。
そんな事言われたら話して欲しくない……。」


欲しい答えを得られた俺は満足気に笑った。