君の涙を拭うのは



豊side


「何はともあれ無事で良かったなぁ~…。」


「菅原くんの勘のおかげだね?」


「タラシにしてはやるじゃない。
見直した、ほんの少しだけね……。」


さっき迄の緊張が嘘のよう。


「皆、本当にありがとう。」


怜央の腕の中からひょこっと顔を出し、
お礼を言う琉月。

その目は泣き過ぎて赤くなっている。


「琉月、ハンカチ濡らしてくるから待ってて。」


「も、もしかして腫れてる!?」


『少し赤くなってるだけだよ。
豊、ありがとな。』


「べ、別に…。」


あれ、なんだろう。
二人を見てると胸の辺りがモヤモヤする。


そんな気持ちを誰にも知られたくなくて
急いで資料室から出た。


豊sideEND