君の涙を拭うのは



「し、知らないもん!」


『知らばっくれんのか良い度胸してんな。』


誰がどう考えても犯罪だろ。


「やッ!やぁ!!」


ガシッ!


「れ、怜央くん!もう良い!もう良いから!!」


無意識に手を振り上げていたのか、
それを琉月ちゃんがさせまいと制する。


「もう大丈夫だから…。」


声も震えて、涙が溢れそうなのに
笑顔で俺を見つめる瞳を見て怒りが冷める。


『…行け。』


「……ッ!!」


バタバタッ…


でも、見逃すのは今回だけだからな。