『永!まだなのか!?』
もう既に、
何階分の階段を駆け上がったのか分からない。
「この学校、意外と入り組んでんのや!
喋っとる暇あったら走りぃ!!」
体力に自信があっても
階段の登りは意外とキツい。
全速力で階段を登るとかあんまりないだろ?
「ハァ…ハァ……ここや!」
先を走ってた永も息が乱れてる。
『確かにここなら誰も来ないな。
でも、本当に…「離して!ヤダッ!!」ッ!?』
中から確かに声が聞こえた。
それも、琉月ちゃんの震えた声が。
その声を聞いた瞬間、
俺の頭の中でカチッと箍(たが)が外れた。



