君の涙を拭うのは



琉月side


『ねぇ、名前教えてくれない?』


「え?え?」


声が聞こえた気がして振り向く。


「何、どうしたの。」


そこには豊。


「…あれぇ〜?」


確かに声が聞こえた気がしたんだけど…。


『そっちじゃなくてこっち。』


やっぱり声が聞こえて、
今度こそ聞こえた方に振り向いた。


「……?」


私の目線で見えたのは腰辺り。

ゆっくりと目線を上げると


『君の名前を教えてくれる?』


怜央くんが私に笑いかけた。