なみだシズク。

「歩いたら痛いに決まってんじゃん。」


呆れたような彼の声色に、なんだか少し意地になってしまう。


「だ、だって……お、お姫様抱っこされなきゃいけないほど、私、重症なのかなって。」


嫌味っぽく返してみる。


相沢くんは少し考えたあと ガシガシと頭をかいて、気まずそうに目を泳がせながら


「あれは…俺が悪かった。」


素直に謝ってきた。


そして、続けざまに口を開く。


「…何で、あんな抱っこの仕方したか分かる?」



少し意地悪な笑みを浮かべて相沢くんは聞いてきた。



「…………私に恥をかかせたかった?」



すると、相沢くんはブハッと盛大に吹き出した。


爆笑している。

なによ…それしか思いつかなかったんだもん。


「フッ……お前の中の、俺って…ククッ……だいぶ性格悪い、んだな……」


まだ息も整わないまま、相沢くんは言った。


「だって…相沢くんのこと、まだよく知らないし…」


言い訳のように、そう言った。



すると、笑顔だった彼の顔に一瞬 影が差した…


…ような気がした。


けど、瞬きの間にまたすぐにさっきの笑顔に戻っていたから、

私の見間違いかもしれない。