下駄箱に着いて 靴箱を開けると、何か紙が入っていた。


「なんだろ……」


小さく折りたたまれた紙を開こうと手をかけたとき…



いきなり彼が手を伸ばしてきて、私の手から紙が奪い取られた。


「ちょ、返して下さいよ!!」


「いや、これは…何もねぇから。」


はぁ?


なんで見てもいないのに、内容分かるのよ!?


「なんであなたが内容知ってるんですか!?」


「だ…だから………とにかく、これはダメだ。」


そのまま紙を高く上に持ち上げる彼。


「わ、わけ分かんないこと、言わないでください…っ」


必死に手を伸ばす私。



何か大切な用事だったらどうするんだ!!



くっ…届かない……くそぅ……



諦めたらそこで終わりだ!!


めげずに手を伸ばしていると。



グキッ


「ッ……!!」


足首から何やら嫌な音がして、次の瞬間 私は態勢を崩して、


目の前にいた彼に 倒れかかってしまった。



…まぁ、はたから見たら、私が彼に抱きついているように見えただろう。




周りから、なんだか冷やかすような声が聞こえてくる。


だが、違うのだ。


抱きついたわけではない。


確かに、腕が彼の腰に回ってしまっているが、


事故だ、事故なのだ。


故意にしたことではない…のに。