なみだシズク。

「もー、相沢と何してたのよー?」


「え、えっとー…だから、保健室で……」


「ほ、保健室ぅ!?…あんなイケメンと保健室で2人きりなんて…ほんとに何してたの!?白状なさい!!」


ムニッと両頬をつままれ、そして引っ張られる。


「いひゃい、いひゃいっへは〜っ(痛い、痛いってば〜っ)」


悲鳴じみた声をあげると、案外簡単にその手は離れていった。


あぁ痛かった…と、頬をさすっていると、


「……で?話してごらんよ、ほれほれ。」


さっき私の頬をつまんでいた張本人、ゆうちゃんが興味深々の目で私を見つめていた。


「だっ…だから、何にもないってば…」


そう、なんにもないの。

なんにもー…



突如として、相沢くんにお姫様抱っこされた場面がフラッシュバックしてくる。


カァ…と、頬が熱くなる。


違うよ、そりゃ、あんなことされたら誰だって…!!


するとゆうちゃんはニヤッとして、


「あー…人に言えないようなコトしたんだ??きゃー、朝っぱらから何やってんのよ、もうー…」


私の顔を覗き込んできた。


その言葉に耳が敏感に反応して、さらに顔が熱くなる。


「ち、ちがう、ちがう!!!そ、そんな………もぉぉーっ!!ゆうちゃんのバカッ!!」


ゆうちゃんは爆笑している。


「あはは、ほんっと、れいな からかうの面白いね。」


「こっちはおもしろくないよ…」


それを聞いて、また笑い出す。


ショートカットの短い髪が さっぱりとした印象を与える、

目鼻立ちくっきり美人。


その上 サバサバした性格と、誰とでも仲良くなれる性質のおかげで、

学年ではゆうちゃんを知らない人はいないほどなのだ。