教室にたどりついた。


そっと扉を開けると、運良く、優しそうな私のクラス担任の、綺麗な女の先生の授業だった。


ちょうど、黒板に文字を書いていて、こちらにはまだ気付いていない。


そーっと扉を閉め、少しかがんで自分の席まで慎重に歩いていく。


こちらに気付いたクラスメイト達が、ガンバレ、とエールを送ってくれる。


私の席はたまたま教室の1番後ろのため、たどり着くのも早かった。


「えー…ここを〜〜として、**を○○に…」


先生の澄んだ声と、黒板とチョークのぶつかる音が聞こえる。


まだ、大丈夫だ。

こっちは向いてない。


私はそっと机にカバンを置き、イスを引こうとしたその時ー




ガガッ!!


引いたイスが、激しく音を立てたのだ。


皆がこっちを振り向く。


…もちろん、先生も。


先生はニッコリと笑って、チョークを置いた。


「ずいぶんな重役出勤じゃないですか、川原さん?」


綺麗なお顔が 今は余計に怖く見えますよ…


「い、いえ、そのぉ……あ、相沢くんがですね…」


「隣のクラスの相沢 翔馬くんですか?彼が何か?」


威圧がすごい。

こんな先生だったのか。


「怪我を…手当てしてもらってて……」


すると、クラスから冷やかしの声があがる。


…なぜか、女子達の冷たい視線や、鋭い視線、ため息も聞こえてきた。