貴方と月と、少しの勇気と。



「ねー、日向ちゃんは何部?」


3人でお昼ご飯を食べたあと喋っていると、原君が唐突に聞いてきた。


「入ってないです」

「え、じゃあ星好き?」


……星?


「嫌いじゃない、です」


あれ、今の言葉曖昧だったかな。
二択の質問の時はどちらかをはっきり言いなさいって人付き合いハウツー本に書いてあった。

でも、原君はぱああっと表情を明るくした。


「なら、星空同好会入ってよ!今人数4人しかいなくて、あと1人入れば部として認められるんだよねー」


星空、同好会……。そんな同好会が学校にあったんだ。
でも、私なんかが入っていいのかな。誘われてるのはすごく嬉しいけれど。


「おい、健太」

「いいじゃないすか別に。……ね?いいでしょ?」


じっとクリクリした目で見つめてくる原君。
なんとなく子犬っぽくて頬が緩む。

私は少し悩んだ挙句、入ることにした。


「分かりました」

「やりぃ!!」

「おい、本当にいいのかよ!」


咄嗟に吉田さんが入ってくる。

多分、私が流されているのだと思っているんだろう。

でも、私は人からお願いされることなんてめったにないから、断るなんてできない。


「大丈夫です」


吉田さんに頷いてみせると、吉田さんは複雑そうな表情を浮かべた。

すると、原君が意気揚々と立ち上がって、


「じゃ。来週の金曜日、空き教室で!」


と笑顔でいうと屋上をスキップで出ていった。