そんな事を思いながら深谷君を見つめていると、メガネを外されてしまった。


「こんなんつけてっから目ェちっちゃく見えんだって」


深谷君は私のメガネを付けようとして、度が強かったのか
「うわっ」
と顔をしかめた。


「返して下さい」


表情を変えず真っ直ぐ深谷君を見つめる。

すると深谷君は口角を釣り上げて、


「相っ変わらず暗いな。名前、日向じゃなくて陰にすれば?」


と、腕を離した。

私はその言葉を真に受けないことにした。

ただ、片方の耳から入ってきた言葉を、もう片方の耳で出ていかせる。

分かっている、自分が悪いのは。

だから、もう何も聞きたくない。

ただあくまで、深谷君が去っていってくれるのを待っていた。