「ぶっ!何?ドキドキしてんの?顔が真っ赤だよ~」
なっ…!
「もぅっ!何なのぉっ!?」
信じらんない!!この人も先輩と同じなのっ?はっ!先輩…。
「…っふ、も~、思いだしちゃったじゃないっ…ひっく、ふぇっ」
泣きたくなんてないのに、涙が溢れてくる。
「ど、どうしたんだよ…。女が泣くの、うぜぇ」
あれ…?ウザイって言いながらちょっと焦ってる?心配はしてくれてるのかな、この人は優しいんだ。本当に。確かな証拠なんて何もないけど、なぜかそう思った。
「ごめん…何でもないぃっ…。うふぇっ、ひっく。授業戻った方が良いよぉ?」
ヤバイ。本当に風愛梨、先輩が好きだったんだなぁ…。新しい恋なんて、もう絶対できな…
「はあー、どうでも良いけど、付き合え」
うそ…、本当にそう思ってるの?好きって気持ちはちゃんとある?冗談じゃないの?飽きたら捨てるんじゃないの?先輩みたいになったら…。
ぐるぐると、悪い考えが頭の中で回る。
それに…
「ふ、風愛梨、あなたの事何も知らない」
本当に、何も。今まで先輩しか見えてなかったから。たくさん見てきたのに、先輩の本性を見抜けなかったのに、初対面で付き合っても、いいの?風愛梨が最初に告白したんだけど。
「俺は神上 彼方【かみじょう かなた】。クラスは2-B。皆の前では王子様を演じてる。好きな食べ物はイチゴ。はい、これで知っただろ?」
知ったって…。それに、やっぱ演じてたんだね。クラスは隣だったんだ…。全然知らなかったや…。好きな食べ物イチゴって、可愛い。
「ふふっ」

