第二秘書は恋に盲目

「槇島さん、どこか行かれるんですか?」

「あぁ。社長が好んでいる海外ブランドの家具が輸入されたと連絡が来た。
取引の場所も時間も一部の客にしか明かされてないから、購入するなら今しかない」

家具?
このホテルの家具は社長が自ら選んでるって……、ってことは、社長も行くの?でも、もう学校に向かわないと……。

その時、社長室の扉が開いた。

「社長、出るんですか?もうすぐあやめちゃんの授業参観が始まりますよ」

「急用だ。授業参観になど行ってられない」

少しは気持ちが揺らぐことを期待した私が間違いだった。仕事を前にしたら、娘との約束なんて無いものとして扱う人なんだ。

「留守番頼んだぞ」

あ……。
私はそれ以上何もすることができなくて、2人を秘書室から見送くるだけだった。