その時、社長室の扉が開いて再び要求が降ってきた。

「槇島。30分後に会議を開く。
幹部に呼び掛けろ。
それと資料の準備だ」

うそ。
すぐに幹部に連絡をして、残りの時間で資料の準備?
あり得ない。

「わかりました。
資料はこちらに用意してあります」

槇島さんは、冊子になった資料を手渡している。
なんで?
社長は今、資料の手配をしろって言ったのに、なんで先回りして準備できてるのよ。エスパーじゃあるまいし。

…これが、槇島さんの凄い所か。社長に時間を無駄にさせない。

そういえば、客室担当時代に同僚が言ってたっけ。
社長についてる秘書はかなり有能で、あの桐山社長が右腕と認めて重宝してると。

私、この人を越えることなんてできるのかな…。