第二秘書は恋に盲目

この高そうな車、須藤先生のだったんだ。さすが、大きい病院の外科医ともなると、持ってる車も違いますね。

嫌味を思ったところで何も変わらない。
後部座席に乗ろうとすると、そこじゃない、と顎で指示され助手席に座る羽目に。

「それじゃあ2人とも、気をつけて帰ってね」

車がゆっくり出発して、私は窓から手を振る。
お願い、2人にしないで。
そんな叶わぬ願いを心の中で叫びながら。

見送ってくれた皆が見えなくなった所で、窓が閉められる。

「さて…やっと2人きりになれましたね。
これでゆっくり話ができる」

最悪だぁ。
今すぐここから逃げ出したい。