第二秘書は恋に盲目

「そ、そんな物騒なことはやめてあげた方がいいんじゃないですか?
脱走にも理由があるんだと思いますし…」

ついに私は口を開いた。
自分の身を守るために。

「まぁ、そうですね。脱走には理由があったようです。
その後、通院に来ることを条件に見逃してやったんですが、約束の期日を過ぎても来ないんですよ。
見つけた時にどんな言い分けを聞かせてくれるのか楽しみです」

「……」

恐怖で言葉が出ないのなんて、初めての経験かもしれない…。
これじゃあ、忙しかったなんていう理由で許して貰える気がしない。
どうしよう。

「それにしても、忙しいのに来てくれてありがとうな」

「いえ、カレンダーに印までつけて、この日を楽しみに待ってたんですよ」

須藤先生の薄く溢れる笑みが怖い。

私だって楽しみにしてたのに、まさかこんなことになるなんて。
あ、もしかして須藤先生は私がここに来るって知ってたんじゃない?
それで…。最悪だ。この人の楽しみはきっと別の所にある。