第二秘書は恋に盲目

「失礼します。今日からお世話になります笠原千歳です」

都内を一望できる大きな窓、壁にはよくわからない絵画が飾られた社長室。
部屋の奥には高そうな机と椅子。そして、そこに座っているのは紛れもなくこのホテルのトップ、桐山社長だった。

社長のダンディな見た目は俳優にも負けないくらいで、若い女性社員でもキャーキャー言うのが納得できる。
いやー、格好いい。


「槇島。俺は就活生を呼んだ覚えはないぞ」


……はい?

嫌味を言われたんだと気づくまでに少し時間がかかった。

そういえば、社長は難しい人だと有名だった。
まぁ、ホテルをここまで成功させるには非凡な能力が必要になるわけで。桐山社長はそれができた非凡人なわけで。

つまり、普通とは大きくかけ離れた人だから、関わるのが難しい人らしいのです。