第二秘書は恋に盲目

「病院抜け出して何してるんですか…?」

確かにそこには椅子に座った笠原さんがいて、ビクッとして振り返った彼女は俺を見て目を丸くした。

「うわ!なんでいるんですか?
ど、どうやってここまで…いたたた」

驚いて勢いよく立ち上がったせいで痛みが走ったのだろう。
腹部を押さえてしゃがみこんだ。

「はぁ…」

呆れて物も言えない。

「なんで来たの?」

ツンとした声でそう聞いたのは、勉強机に向かうあやめちゃんだった。
シンプルなその部屋には、椅子に座った笠原さんと、勉強をするあやめちゃん。
それはある意味で見慣れた光景だったが、これがどういう状況なのかは把握しきれない。