第二秘書は恋に盲目

「着きました。
こちらです」

エレベーターを降りた後、とある部屋の前まで案内された。

「笠原はこの中におります」

そう言って彼が開いたドアから見えるのは、広めのホテルの部屋。

「客室?
笠原さんってここの従業員なんですよね?」

「えぇ。
中で仕事をしております。申し訳ございませんが、私は中に入ることを許されておりませんので…」

「わかりました。
案内ありがとうございます」

お礼を言うと、そのスタッフは丁寧にお辞儀をしてドアを閉めた。
客室の掃除でもしてんのか?いや、もしそんなことして身体動かしてたら、問答無用で病院に連れ戻してやる。

そう考えながら廊下を進むと、ある扉の向こうから声が聞こえた。
ここにいるのか。
色々と言ってやらなきゃいけないことがある。
俺は一気に扉を開けた。