次の日も通常通り始まった。
早朝からの手術も、もう慣れたもの。
ある大企業の令嬢を死なせるなと金を積まれながら依頼された手術。それなりに難しいものだが、俺の手にかかれば不可能なことなんてない。
無事に手術を終えて、あとは彼女の回復を待つだけとなった。もうあの社長や令嬢は、俺に頭が上がらないだろう。
まぁ、だからってどうという訳ではないが。
だがその日、俺が医者になって以来最大のイレギュラーが起きた。
血相変えて、病院に設置された俺の部屋に入ってきたのは看護師の八田さん。
「先生、大変です!」
「どうした?」
こういう場合想像し得るのは、患者の容態の急変や近くで事件発生により大勢が運び込まれるなど、そういう緊急事態だ。
「笠原さんがいなくなりました!」
……。
はぁ。
そんなふざけた事件は心底受け付けたくない。
「昨日の夜まではいたんですけど、朝病室に行ったらもぬけの殻で。
この時間だと、痛み止はもうほとんど効いてないでしょうし、どうしましょう」
深夜に逃げ出したとでも言うのか?
そんなの、痛み止がどうこうというよりその前に、そもそも動ける状態じゃないだろ。
病院から逃げ出せる程歩けるはずがない。
どんな身体してんだよ!
早朝からの手術も、もう慣れたもの。
ある大企業の令嬢を死なせるなと金を積まれながら依頼された手術。それなりに難しいものだが、俺の手にかかれば不可能なことなんてない。
無事に手術を終えて、あとは彼女の回復を待つだけとなった。もうあの社長や令嬢は、俺に頭が上がらないだろう。
まぁ、だからってどうという訳ではないが。
だがその日、俺が医者になって以来最大のイレギュラーが起きた。
血相変えて、病院に設置された俺の部屋に入ってきたのは看護師の八田さん。
「先生、大変です!」
「どうした?」
こういう場合想像し得るのは、患者の容態の急変や近くで事件発生により大勢が運び込まれるなど、そういう緊急事態だ。
「笠原さんがいなくなりました!」
……。
はぁ。
そんなふざけた事件は心底受け付けたくない。
「昨日の夜まではいたんですけど、朝病室に行ったらもぬけの殻で。
この時間だと、痛み止はもうほとんど効いてないでしょうし、どうしましょう」
深夜に逃げ出したとでも言うのか?
そんなの、痛み止がどうこうというよりその前に、そもそも動ける状態じゃないだろ。
病院から逃げ出せる程歩けるはずがない。
どんな身体してんだよ!



