第二秘書は恋に盲目

帰りに笠原さんの病室の前を通ると、あやめちゃんは、素直に戻っていて勉強の続きをしているようだった。
あんなに勉強して、中学受験でも控えているのだろうか?
ませた言動をとるし、プライドも高そうだけどまだ小学生だ。何年も先の医者との結婚を夢見て対策を練るよりも、目先の勉強が優先だ。
だからもう、さっきみたいに俺の後ろをついてくることもしなくなるだろう。

…そう思ったのに。

次の日もその次の日もまたその次の日も。3日連続であやめちゃんは学校帰りに病院に来ては俺に付きまとった。

「…。
…おい。
何の用だ」

いい加減にしてほしいという気持ちが伝わるように、大人げないが低くドスの効いた声を出した。
だが、あやめちゃんは全く臆することなく俺をじーっと見上げた。

「…須藤先生って彼女いないでしょ?
ってか病院が彼女ってかんじ?
見ててつまんないんだけど」

は?急に何なんだよ!
つまんないんなら離れろよ!