第二秘書は恋に盲目

「せんせーい!」

そこに白衣を着た先生が病院の中から駆け出てきた。

「急患です!お願いできますか?」

「すぐ行く」

甘い時間は終わり、一気に仕事モードに切り替わる須藤先生。

「いい加減私たちも帰るよ」

そう言って笠原は私の手を握ってスタスタと歩き出し、須藤先生は反対方向へ走り出した。

別れの挨拶くらいすればいいのに。
そう思ったけど、前しか見てない笠原と、一切振り返らない須藤先生の背中を見て、それぞれ瞬時に仕事に向かう姿をカッコいいと思ってしまった。

あぁ、そっか。
これが笠原と須藤先生のカップルの形なんだ。
仕事が目の前にあると、恋愛に意識が向かなくなるのかもしれない。それって、怖くてなかなかできることじゃないでしょ。なのに、反射的にやってんだからすごいよね。
それに、お互いの仕事を尊敬してるんだろうね。

悔しいけど憧れちゃうな。

いつか、私にもそれくらい大事なことができたらいいな、なんて思ったことは、まだ笠原には内緒にしておこう。


【第二秘書は恋に盲目】完