「ふたりの再婚が決まって、ここに全員が集まった時があっただろ?実はそれよりも前に僕たちはお互いを知ってたんだ」

「うん。特にお父さんには、怒らないで聞いて欲しいんだけど…。

少し前に、仕事絡みで知らない男の人にナイフで刺されて、病院に運ばれたの。そこで私を助けてくれたのが孝宏さんで…。
私が、家には連絡しないでって言ったの。お父さん凄く心配して、私を実家に戻すって言い出しそうだったから。

あ、もちろんもう元気だよ。傷もそこまで深いものじゃなかったみたいだし、犯人だって捕まってる」

…知らなかった。
入院してたとは言ってたけど、刺されたからだったのかよ!

「刺されただと!?
犯人が捕まってるから大丈夫だとか、そういう問題じゃないだろ!
報告ぐらいしなさい!」

父さんの言うことはもっともだ。だが、今まで心配性の父親にあれこれ言われて育てられた娘としては、言い分もあるのかもしれない。
千歳は口を尖らせて反抗した。