交際報告か…。
良い方向にイメージが全く膨らまないのはどうしてだろう。出直して来いとか、最悪別れろなんて言われるかも!そんなことになったら…。


「千歳、ちょっと」

車を降りてすぐに孝宏さんに呼ばれた。

もう緊張で歩き方すらわからない私は、挙動不審に孝宏さんに近づいた。本来なら心休まる実家も、今は落ち着きも安心もあったものじゃない。

そこにぎゅっと全身に柔らかい衝撃があった。
いつの間にやら、孝宏さんの腕のなかに包まれている。

え!

不意すぎて心臓が一気に強く鼓動する。バクバクと、それはもう心配になるレベルで。

「落ち着け。
俺がいる」

すぐ耳元で聞こえた声にはっとする。

また悪い癖が出ていた。つい自分ひとりであれこれ突っ走って考えてしまう。

今から立ち向かうのはふたりの問題で、私だけでも駄目だし孝宏さんだけでも駄目なんだ。

そう思うとさっきまでの緊張が嘘のように、落ち着きを取り戻していった。

それが孝宏さんもわかったのか、ゆっくりと腕を解いていく。