第二秘書は恋に盲目

着なれない青いドレスに身を包み、社長の一歩後ろから会場に入った。

こうやって上品な人達に囲まれて、ドレスなんか着てると、今だけはお嬢様になったようなおしとやかな気分でいられる。これなら、四条さんに会っても華麗にスルーできそう。

会場での私たちの仕事は、社長に挨拶に来る人が誰なのかを、素早く社長に耳打ちすること。女性は私が、男性は槇島さんが担当。
社長の頭脳をもってすれば、ここの会場の人なんて覚えられるはず。社長は、最初から覚える気がないんだ。
お陰で記憶力はだいぶ鍛えられた。

「社長、四条様がいらっしゃいました」

四条…!
耳打ちした槇島さんの言葉に、私の肩はピクリと反応する。

少しずつ近付いてくるのは四条社長と、息子の四条誠治さん。

だ…大丈夫。
平常心、平常心。
そう心の中で唱えるも、少し場所をずらして社長に隠れる。やっぱり、視線を感じると心地悪い。

そんな私を、槇島さんはやれやれという目で見ている。