第二秘書は恋に盲目

必要ない電気は消された若干暗い秘書室で、スタンドの電気をつけ、それぞれ作業をする。5000部を分担するとひとり2500部。
目の前にするとかなりの量だった。

再び溜め息が漏れてしまう私とは対照的に、槇島さんは黙って器用にシールを貼っていってる。

「すいません。付き合わせてしまって」

「この資料の郵送が間に合わなかったら俺にまでとばっちりがくる。社長も俺が手伝うことも見越して頼んだんだろう」

「そうなんですか?
それだけのことがわかってるんだったら、もう少し余裕持って指示出すことできそうじゃないですか?」

「今に始まったことじゃない。

今日、用事でもあったんじゃないのか?
ずっと時間気にしてただろ」

なんと。気づかれていた。

電話の内容を思い出して落ち込むな、私。

「知り合いと映画の試写会に行く予定を入れてたんです。
この仕事してると、遊ぶ約束なんか簡単にはできないですね」

「それを覚悟でこの仕事やってるんだろ?プライベートを犠牲にしてでも社長に尽くせる人間じゃないとこの仕事は勤まらない」

ごもっともだ。
私はこの世に一人しかいないんだから、持てる時間は限られてる。その時間の中でじゃ、あれもこれもって欲しいものに全部手を伸ばせる訳じゃない。大事なものを選んで、そうじゃないものは捨てていかないと。