第二秘書は恋に盲目

「…千歳が嘘つくの下手なのって、父さん譲りだよね」

「嘘じゃ、ないよ」

かなり目が泳いでるんですけど。兄貴への気持ちを誤魔化しきれるとでも思ってんのかな?
それとも自分に対して誤魔化してんのかな?

どっちにしても、千歳を追い込むのちょっと楽しいかも。

「じゃあさ、兄貴にキスされたとき千歳はどんな反応をしたの?
突き飛ばした?ビンタでもした?
まさか、黙ってされるがままってことはないよね?」

こんな質問をされたら、嫌でもそのときのことを思い出してしまうのか、顔がどんどん赤くなっていく。
嫌悪感を示さないんだから、十分気があるって証拠になりそうなんだけどねー。

「そ、それは…あまりのことに驚いたから…」

「ふーん、黙ってたんだ?
ま、俺から言わせれば、キスしてそこまで意識された時点で、落としたも同然なんだけどね。
ってか千歳は、もっと前から兄貴に落とされてんじゃねーの?」

「…私には仕事があるの」

論点をすり替えようとしてる。よっぽどこの話が嫌なんだろうね。