第二秘書は恋に盲目

「ガツンと、ね…」

視線を落として一点を見つめている。

「本音は、さっき孝宏さんに言った通りなんだよ…。
仕事に支障が出るから困ってる…。それに、家族だし…」

おい。
おいおいおいおい!
それって、仕事を順調にこなせる保証があれば、兄貴とは付き合ってもいいってことになるんじゃねーの?
それに、家族ってことだって親同士の再婚でそうなったってだけでその壁を越えることは心理的にそう難しいことじゃ無いかもしれないし。

…そのことに気づいてんのか?

「千歳は…、兄貴のこと好きなの?」

「…っ」

飲んでいた珈琲をつまらせて咳き込んでしまった千歳。

「違っ、違う違う。
そんなんじゃないよ!」

…。