第二秘書は恋に盲目

「突然キスしたのは悪かった。衝動に任せてしまった点は反省してる。

ただ一言言わせてもらうと、千歳も俺に気があると思ってたんだが?」

「はぁ!?
な、何言ってるんですか!意味わかんないし!」

は!?意味わかんねーし!
兄貴が千歳にキスしただと?
そんなの信じらんねー。んで、なんなのこの自意識過剰は!?
二人がいつの間にか仲良くなってたとしても、兄貴がそんなことするなんて考えられない。

大学時代、幾人もの女性からのアプローチにもなびかず、卒業してからも医療に没頭していた兄貴が、自分からキスって……。
何がどうなったらそんなこと起きるんだよ。

「私は、仕事が恋人なんです!こんなことされたら困ります!
今大変なんですよ、仕事も手につかなくなるし、ミスするし。

それに、血は繋がってないとはいえ家族なんですよ?

…どうして、あんなことしたんですか…」

「どうしてって…そんなのわかるだろ…。

いや、そんなに迷惑だったんなら、忘れてくれ。
俺も忘れる」

「…。
そんな簡単に忘れられるんですか?

もうやだ。何も考えたくない。
出て行ってください!」

うわ、やばい。兄貴が出てきてしまう。
俺は咄嗟に自分の部屋に戻った。