第二秘書は恋に盲目

2階の千歳の部屋にはまだ色々と千歳の物が置いてある。父さんが、千歳がいつ帰ってきても良いようにって、部屋をそのままにして残してるんだ。

その、千歳がいる部屋に、兄貴が入っていくのが見えた。
おいおい、何やってんだ。
止めようと思ったけど、時既に遅く、もう兄貴は部屋に入って扉を閉めた。

俺は気になって、若干の罪悪感を抱きながらも扉に耳をあてた。


「俺のこと避けてんの?」

うっわ、単刀直入。もっと探る感じで聞こうとかねーのかよ。

「…避けてます」

あぁ…。千歳もそうくるのね。

「なんで?」

「なんでって…!

一緒にいたら、どうした良いかわからなくなるからですよ。
あんなことされたら…、変に色々考えちゃって大変なんですよ!

平気でいられる方がどうかしてますよ!」

千歳がこんなに声を荒げるなんて。兄貴はよっぽどのことをしたに違いない。
相当な暴言を吐いたか、脅しをかけてるとか。兄貴なら、どれもやりかねない。