第二秘書は恋に盲目

「行けないなら行けないで良いのよ。一応持っておいて」

「それ、俺が千歳と行こうか?どう?俺暇だし」

黙っていられずについ口を挟んだ。兄貴は忙しいんだし、チャンスがあるなら手を伸ばさないと。

「この前あげようかって言ったとき、雅樹は興味ないって言ってたじゃない。
それに、平日よ。学校でしょ?」

「そうだけど…」

くそ。上手くいかない。

食事が終わって、お喋りにも満足したのか、母さんは片付けを始めた。

今日も兄貴が千歳を送るんだろうと思ってたんだけど、千歳が明日休みだから泊まってもいいかって言い出したから、父さんも母さんも喜んで受け入れた。

その様子を渋い顔で眺めていたのが兄貴だ。
たぶん、千歳に嫌がらせでもして嫌われてんだろ。

人の心を持ってない冷徹な医者が!ざまーみろってんだ。