第二秘書は恋に盲目

「何を言ってるんです、私はそんなこと伝えた覚えなどありません。変な言いがかりはやめていただきたい」

堂々とした態度は少しずつ崩れ、その場しのぎの無理な言い訳をするも、この場にいる誰もが聞く耳を持たない。

私は部外者ってことで気を使って病室の外から様子を眺めてたんだけど、その途中で見たことない人が横を通って中に入っていった。

「金子先生、今の話が本当ならば大変なことですよ。何か間違いがあったとしても、あなたには色々と聞きたいことがあります。
須藤先生の担当してる入院中の患者さんに、脱走を勧められたと、先ほど相談を受けたのですが、どうなんです?」

「い、院長…。
まさか…。そんなこと言いませんよ…」

この人院長なの!?

それにしても金子先生、こういっちゃなんだけど誤魔化すの下手すぎ。
その顔じゃ、脱走をそそのかしましたって言ってるようなもんじゃん。

「とにかく、話を聞きたいので院長室まで来てください」

「…わかりました」

あの人が院長なんだ。めっちゃ厳しそうな人。これで金子先生も終わったな。