第二秘書は恋に盲目

『笠原?
刺されたって本当なの?
ドジなんだから。

え、入院までしてるの?』

多少は心配してくれているらしい声に、単純にも嬉しくなる。

『ふーん。
じゃあ今日のカテキョ誰が来んの?

誰も来ない?
まぁ…それならそれで別にいいけど』

あれ、なんだろう。
表情や態度が見えないとあやめちゃんの感情が素直に伝わってくる気がする。
やっぱり1人だと寂しいのかもしれない。

「あ、あのさ!良かったら病室で勉強しない?
私動けないけど、わからない問題見せてくれれば頭使うことはできるから」

『はぁ?
なんで笠原の所に私が行かなきゃなんないの、有り得ないから』

「その…病院って何もすることなくて暇なんだよね。
話し相手になってくれると私も嬉しいから」

『笠原の暇潰しに利用しないでよね!』

プツリ…。
そこで電話は切れた。

あー、駄目だった。
あやめちゃんと距離を縮めるのはかなり難しそう。