第二秘書は恋に盲目

「ここで暴れられるとまた俺が呼び出される。
好き勝手したいんなら退院してからにしろ。
バカな奴の手術をさせられるほど苛立たしいものはないからな。

大体暴れたところで、すぐ捕まることくらいわかってんだろ」

今はまだ明るい時間帯。さすがに脱走なんて無謀だ。

それにしても、脱走なんてものをこう立て続けに俺の患者が企てるなんて、運が悪すぎる。

「身体動かしてねーと鈍るだろ。
窓からだったら飛び降りれそうだったし」

また飛び降りかよ…!

「…なんだよそれ、流行ってんのか?」

なんてことだ。
ここにもとんでもない奴がいた。
もしも本当に飛び降りてたら、2度目の手術は避けられなかったかもしれないというのに。

「動きたいならリハビリで発散しろ」

「あんなんで動いたって言えるかよ」

「だからって飛び降りはやりすぎだろ」

「俺ならいけるね!」

冷静さを取り戻しているのだろうが…、もとから頭が弱いらしい。
千歳と同じくらい話が通じないかもしれない。こんなんでは先が思いやられる。

とはいえ、さっきの脅しが意外と効いているのか、今日のところはもう暴れそうにない。痛みもあるようだし、俺が出ていけば眠りにつくだろう。

ということで、俺は病室を後にした。