第二秘書は恋に盲目

バカか。興奮が冷めれば、痛みを強く感じるのも当然だ。
たしか野球をやってるようという話だったが、いくら鍛えられていても今の痛みには耐えられるはずがない。

「誰がお前の言うことなんかに従うか。
明石勇輝。お前は手術を受けなければ死んでたんだ。
今の自分の身体がどういう状態かくらいわかってるだろ?

死にたくなかったら黙って寝てろ」

「なんだよ。医者が俺に命令すんのか?」

いかにも坊っちゃんらしい発言だ。
だけど、俺にしてみたら患者が何者だろうと関係ない。ただの男子高校生だ。優遇するつもりなど微塵もない。

「お前が誰かなんてどうでもいい。
俺が救ってやった命を無駄にしてんじゃねーぞ」

「はぁ?俺が何しようと勝手じゃねーか」

勝手ねぇ。助かってしまえばこいつが自分の命をどうしようと俺の知ったことではない。
それはその通りなんだが…。