第二秘書は恋に盲目

「私が上に立てば、まずは横暴な医者へのテコ入れから始めますかね。須藤先生が不要だと判断された場合には、次の病院くらいは紹介して差し上げましょうか?離島なんかが向いているのでは?はなから群れる必要もありませんし。

それと、あなたの信者となっている看護師にも再教育が必要ですかな。
それに患者にも。どうやら熱狂的なファンがちらほらいるらしいじゃないですか」

つまり問答無用で俺をクビにするってか。そして島に飛ばすと。

「随分と俺への対処に時間を割いてくださるんです。医者としての仕事を忘れないでください」

「なんだと…」

「金子先生に失礼だろ!」
「口の利き方がなってない!」

金子派閥の奴らが、わーわーと騒ぐ。が、そんな声を既に俺は背中に受けている。
いつまでも言い合いを続けるつもりはない。

「見ておけ!
そんな態度をとれるのも今のうちだからな!」

最後に廊下に響いたのが、金子の震えた大声。
何か秘策でもあるのだろうか。
詰めの甘い金子のことだ。何の脅威も感じない。