第二秘書は恋に盲目

「おはようございます…。やっぱりここ、孝宏さんの家ですよね。

なんで…?」

寝癖を立てた千歳がそこにいた。
首を傾げている姿に、今まで思い浮かべていた嫌いな医者の顔などぶっ飛んだ。

「なんでってお前…、ふざけんな!」

さすがにカチンと来る。
わりと落ち着いていた心拍が怒りのせいでくっと上昇したのがわかる。
起きて早々にふざけたことをぬかす千歳の頭を掴み、見下ろしながらぐりぐりと押さえつける。

「俺の忠告も聞かずに飲み続けて、愚痴って説教して、挙げ句居酒屋で潰れたんだよ!
仕方ないから背負ってここまで運んだんだ、俺が!

思い出せるまで脳に刺激与え続けてやる」

「い、痛いです。
思い出した、思い出しました!」

さっと後ずさって俺から離れると、眉をひそめて頭を撫でている。そんなうるうるした目で見上げたってチャラにはなんねーぞ。