第二秘書は恋に盲目

「安静にしてないと傷口開きますよ。
もしも気分が悪くなったり、痛みがひどくなったりしたら知らせてください。
今日から1週間は入院になるでしょうからそのつもりで」

淡々とそれだけ言うとさっさと病室を出ていった。

うわー、なんかすっごい頭良い理系の人って感じ。決して誉め言葉とかではなく。
格好いいけどあれは人を寄せ付けないな、きっと。社長と同じタイプだ。

私は残った看護師さんに話を聞く。

「あの…」

「笠原さん良かったですね。
須藤先生に手術してもらえるなんて、羨ましいです」

先に看護師さんが話し出した…。


「羨ましいんですか…?
あの、どうして私は手術を受けたんですか?」


「覚えてませんか?
笠原さん、仕事帰りに刺されたんですよ。
あ、でも安心してください。犯人はすぐに捕まってます。
もう少ししたら、警察の方が話を聞きにいらっしゃるでしょう。

それで、運び込まれたとき運良く須藤先生がいらっしゃって、ささっと手術を成功させたんです」

刺された…?
それを聞いて、なんとなく記憶が甦ってくる。
あれは、お父さんとの電話の直後のことだ。