第二秘書は恋に盲目

「医者の前で風邪を隠そうとするバカがどこにいる」

「…すいません。今度からは孝宏さんに迷惑がかからないよう気を付けます」

内科医じゃないじゃん。と不満を顔に漏らしつつも、口では素直に謝っておく。

「そうしてくれ。
こっちに何の準備もさせないまま振り回しやがって。言っとくけど、そんなのに対処できるのは俺くらいだからな。
わかったなら、俺に迷惑がかからないように、事をおこす前にちゃんと話すんだな」

ちゃんと話す?

「え?でも…」

話す時点で迷惑になるんじゃないの?お前の話なんか聞いてる暇無いって追い返しそうじゃん。

「でっかい岩に激突されるより、定期的に石ころ当てられた方がマシなんだよ」

はい?…岩?石ころ?
何のことだろうと一瞬考える。

あぁ、なんとなくわかった。
つまり、病院で抜け出して探させるっていうのは多大な迷惑をかけることになるから巨大な岩で、私の具合の悪さや仕事にかける思いは石ころ…。
泣けてくる…。