第二秘書は恋に盲目

私はうつむいたままで見えないけど、きっとおしぼりを投げたその人は、かなりイラついている。

「は？…あ、あぁ、日帝の社長がそういうのが嫌いってことね。
一瞬お前が笠原さんの名前呼ばれるのとか嫌なのかと思ったよ。
だって、すっげー目で睨んでくるんだもん。まじこえーよ」

目の前の席に座っている先輩をも怖じ気付かせるその男性。もう気付いてはいるけど、恐る恐る顔をあげる。

…ですよね。

ガヤガヤと話し声が飛び交う中、不敵な笑みでこちらを見る孝宏さんとばっちり目が合ってしまった。

この人は私をいじめて楽しんでる節がある。

ってことは……。
このあとどうなるんだろう。私は何を言われるんだろう。

そんな恐怖心に私の心は全て支配された。