第二秘書は恋に盲目

「せっかくだけど、もうすぐ帰るつもりだし」

「さ、行きましょ」

聞く耳を持たない、か。
まぁ、何を言われようと私がここから動かなければいいだけの話。

「あっ」

下河さんはカウンターの上の私のグラスと、椅子の上に置いていたバックを持って個室へ先に行ってしまった。

嘘でしょ…。
いくら酔っ払ってるからって、それは無しでしょ。

ここまで自分勝手に進められると、怒りを感じずにはいられない。だけどここは冷静になろう。マスターに迷惑をかけてこのお店に来られなくなるのは嫌だから。

はぁ。ため息をひとつついて、バックを取り返すために個室に乗り込むことにした。盛り上がってるみたいだし、さっと入ってさっと出てくれば大丈夫なはず。