第二秘書は恋に盲目

ほのかな照明に流れるジャズのリズム。そこにマスターの低い声が響くこのお店を、私はすごく気に入っている。

いつも座っていたカウンター席の奥から2番目に今日も座る。

「お待たせしました。カシスオレンジです」

ここでの1杯目は決まってカシオレ。マスターは注文する前に出してくれた。
久しぶりに来るけど、覚えてくれてたんだ。

マスターはあまり喋る人ではない。だから、私もあまり自分のことを語らない。
最近来れなかった理由も、マスターにとってはきっとどうでもよくて、むしろ大事なのはまた私がここに来たという事実。

この、来るもの拒まず去るもの追わずというスタンスもお気に入りポイントの1つ。
いつでも戻っておいでと言われているようで、なんだかほっとする。