第二秘書は恋に盲目

八田さんが出ていって少しして、次は孝宏さんが手提げ袋を持って病室に入ってきた。

「たかが風で個室なんて贅沢だな。
大体、バカは風邪引かないんじゃないのか?」

もしかして昨日の夜、心配して付き添っててくれました?って聞こうと思ったけど、早々の暴言に聞くのを止めた。

「風邪くらい引きます。
なぜなら、私はバカじゃないから!」

「そうかよ。
ほら、さっき母さんが来てお前の荷物置いていった。
着替えとかが入ってるんだとさ。

ぐっすり眠ってるみたいだからって言って、すぐ帰ったけど」

渡された手提げ袋。

「晶子さん来てくれたんだ。お礼言っとかないと。

あ、会社にも連絡しなきゃ」

色々とやらなきゃならないことを思い出して立ち上がろうとする。だけど孝宏さんに止められた。