無意識に掌に少しは力がこもってその存在を確かめるように握りしめる。

ちゃんといる。ちゃんとここに、孝宏さんがいてくれている。

繋がれたその冷たい手が心地好くて安心する。
こんなこと、ドキドキして私の心臓に悪いはずなのに、離したくない。

月明かりのこぼれる静かな病室に2人きり。そんな普段ならあり得ない空間で、不思議と落ち着いた私は、瞼が重たくなってきた。

よく眠れそうな気がする…。

最後に孝宏さんの寝顔を見て、私はゆっくりと目を閉じた。