第二秘書は恋に盲目

「あのな…、笠原さんが命令通りに動く人間だったら、昨日あやめちゃんを見つけた時点で、誰かに連絡して迎えに来させてるだろ」

「須藤先生に何がわかるのよ。関係無いじゃん」

ここまで散々迷惑かけておいて関係無いだと?
このガキ、どこまで甘えれば気が済むんだ。

「わかるんだよ。
あやめちゃんは父親に対する不満を笠原さんにぶつけてるだけだ。
ちゃんと不満の原因と向き合えてない。
感情をぶつけやすい相手にぶつけていたって何の解決にもならねーよ。
家出が問題の解決にならないことくらい、自分でもわかってるだろ」

…。
子ども相手に説教してしまった。
医者としても俺の人生を振り返っても、こういう状況での説得は専門外もいいとこ。
だからこんな言い方にしかならない訳だが、仕方ない。俺の経験則で言えば、面と向かって話し合うのが最も手っ取り早くて効果的なんだから。

「っ……うっ…」

…って、泣くのかよ…。