第二秘書は恋に盲目

朝、何かの物音で目が覚めた。午前6時。外が明るくなるかけている時間帯だ。

廊下に出ると、リュックを背負って玄関を開けようとするあやめちゃがいた。

「まだ家出を続けるつもりか?」

「げ、須藤先生…」

まるでイタズラがバレたときの子どもの顔だ。

この、ギクッとした顔、よく千歳がしてるのを見る気がする。
そういえば、初めて会ったときは家出なんてリスクの高いことするような子には見えなかった。そんな子が後先考えない行動をとるなんて。
…千歳に影響されてんじゃねーか?

「今日帰るって約束したから、笠原さんは昨日あやめちゃんを無理矢理連れて帰ることをしなかったんじゃないのか?」

「そんな約束知らない!
笠原だって、どうせお父さんの命令で動いてるんでしょ!
そんな人の言うことなんか聞きたくない!」

朝から元気だな…。
よくそんな大声が出るなって感心してしまう。