普段なら出歩かない時間帯の街は、主婦層が多いように見える。子どもといえばまだ小さな子達ばかり。もしここに小学生がいれば、目立つはずだけど…、どこを見渡してもあやめちゃんは見つからない。

公園、図書館、河川敷など、息を切らしながら思い付く所は探して回ったけど、どこにもいない。
もう日が暮れる時間ということもあるけど、空を分厚い雲が覆っていて薄暗い。更に、流し込まれるよどんだ空気が気分を沈める。

あやめちゃん、一体どこにいるんだろう…。
まさか、本当に事件に巻き込まれたりなんてこと、ないよね…?

私が嫌なことを考えると、それを助長するようにぽつりぽつり雨が降りだした。
やむことを知らない雨は、どんどん強まって私を濡らしていく。

傘、持ってくるんだった…。

駆け込んだ橋の下で雨宿りをしながら空を見上げる。

どうしたらいいの…。早く見つけないと、あやめちゃんも雨に濡れてるかもしれない。