第二秘書は恋に盲目

「あやめちゃんのことです。今日のことをどれだけ楽しみにしてたか。
最初で最後でも良いから、来てほしかったんじゃないでしょうか?

謝って、何か埋め合わせを…」

「あやめがそう言ったのか?違うだろ、それはお前の妄想だ。

あやめはしっかりしている。子ども扱いをする必要はない。
俺の仕事の大変さを幼い頃から見てきたんだ。授業参観に行けなかったくらいでうじうじ言う程わがままじゃない」

何でも良いから埋め合わせをして欲しいという私の要求は、あっさりと却下された。
いくら忙しい社長だとはいえ、こんなにも娘をないがしろにできるものなのだろうか。

子ども扱いをするとかしないとかじゃなくて、私はもっと、あやめちゃんに関心を持ってもらいたい。

「たしかにあやめちゃんは、普通の小学6年生と比べると大人な考え方をします。だけど、だからって大人と同じという訳ではありません。
本当はもっと父親に見てもらいたいはずです」

怯むな私。
拳を握りしめて自分を鼓舞する。